かつては欧米諸国での発生頻度が多かったが、近年、食事や生活スタイルが欧米化し日本でも増加傾向にある。
好発年齢は40歳代
日本における乳がんはエストロゲン依存性が多く、この場合エストロゲンは乳がんの発育を促進する。
危険因子としては、高脂肪食、未婚(出産未経験)高齢出産、早期初潮、晩期閉経、肥満、放射線被爆、更年期以降後のホルモン補充療法などがあげられる。
約1%男性にみられる。
乳癌の主症状は乳房腫瘤(しこり)であり表面は不整で硬く、無痛であり境界が不明瞭で可動性が少ない。
皮膚所見ではえくぼ症候(ディンプリングリングサイン)のほか、皮膚や乳頭の陥凹・びらんがみられ、皮内リンパのうっ滞による皮膚の浮腫と毛孔拡大をみる。
乳頭から血性の異常分泌物が見られることがある。
乳癌の早期発見には自己検診が有効である。月経時の出血が終わった時期、また閉経後の場合も毎月一回行うとよい。
自己検診=鏡の前に立ち、左右女房をよくみて、皮膚表面があれ(毛孔拡大)ているか、ひきつれやえくぼ様の陥凹があるか、形状や位置にに左右差があるかチェックする。
これらは手を腰に当てたり、上肢を挙上して行う。
乳頭部をつまんで血性の乳頭分泌が出ないかをチェック。
乳房を指腹でピアノの鍵盤を引くように、また手掌でなでるように動かし、辺縁部から乳頭に向かって触れ腫瘤がないかを確認する。
これらは立位で上肢を下垂させた姿勢、挙上した姿勢、さらに仰向けで行う。
乳がんの診断は視診と触診による初見と、マンモグラフィー、超音波検査、穿刺吸引細胞診によって行う。
乳癌はリンパ節転移および血行性転移がおこりやすい。リンパ節転移は腋窩、鎖骨下、胸骨傍に頻度が高く、転移個数は予後と相関する。
また血行性転移は骨、肺、肝臓に多い。
乳がん治療の中心は手術である。その進行によって切除範囲は異なるが、小さな腫瘍では大胸筋や小胸筋は温存し、乳房の切除にとどめる非定型的乳房切除が中心となっている。
なお乳房温存手術では残存乳房に放射線療法を併用する。
一方進行したものでは手術や放射線療法に化学療法、内分泌療法をくわえた治療が行われる。
乳癌の手術時に腋窩リンパ節郭清を行った場合には、患側上肢のリンパ性浮腫をきたすことがある。この場合は患側上肢のむくみと周径増大、おもだるさ、締め付け感などを呈する。
10月はピンクリボン月間ですよというお話でした。
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