不眠のタイプ
●早朝覚醒 寝つきは良いが、朝早く目覚めてしまう。(うつ病)や(老人性精神障害)などで見られる。
●入眠障害 寝つきが悪い状態で(神経症)に多い。
●熟眠障害 夢が多く、熟睡できなかったと訴える状態。
●中途覚醒 睡眠の途中で覚醒する状態。
基本的に、睡眠時間が多くても少なくても『日中に不調が出現』しなければ診断しない。
タイプ別の有病率は中途覚醒が多い。
高齢者では、60歳以上で頻度が高く、加齢に伴い不眠が増加していることが分かる。
【注意を要するもの】
●執着的傾向や脅迫症状など、異常な精神状態の見られるもの(統合失調症)
●早朝に目が覚めてしまう『早朝覚醒』朝は無気力で夕方にかけて元気が出てくる『日内変動』などの症状がある(うつ病)
●睡眠を妨げる薬の服用
降圧剤 甲状腺製剤 抗がん剤
日中の眠気を増加させる薬の服用(抗ヒスタミン薬)
注意
2種類の睡眠薬を併用しても改善しない場合は、専門医へ
不眠の原因には、精神疾患だけではなく、内科疾患もあるので、鑑別診断が重要。
胸苦しさ➡高血圧、心臓病
咳・発作➡呼吸器疾患
頻尿➡前立腺肥大
痛み➡関節リュウマチ
痒み➡アレルギー疾患
その他➡腎臓病、糖尿病、脳血管障害
急性の場合に考えられる疾患
一過性ストレス、睡眠を妨げる環境、薬物、疼痛、脳器質性疾患
入眠障害の原因
循環要因、心理的ストレス、むずむず症候群、睡眠相後退障害
中途覚醒
睡眠時無呼吸症候群、アルコール摂取、疼痛がある場合
日中に過度の眠気や集中困難がみられる
睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢麻痺など、ほかの睡眠障害が疑われる。
誘因
精神的ストレスはなかったか
処方されている薬物の開始、変更はないか
引っ越しなど、住環境の変化は
全身症状の有無と内容
発汗、体重減少、動悸、貧血、足のひきつれ、むずむず感などの随伴症状はないか
生活歴
昼寝の有無、日中の運動量は
嗜好品・常用薬
アルコール、喫煙、コーヒー、常用薬の有無と量は
【実際の把握には(睡眠日誌)をつけさせる】
睡眠不足症候群
日常で慢性の睡眠不足となっているために過眠が出現。
平日は3~4時間、週末に10~12時間眠る人など
(まじめで有図が利かない人)が多く、仕事がひと段落するまでは遅くまで仕事をしたりとetc
●睡眠時無呼吸症候群
眠りだすと呼吸が止まってしまうため、目が覚め、一晩中繰り返すため、日中に強い眠気が出現する。
1時間当たり10秒以上の無呼吸が20回以上出現する場合を放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、生活習慣病、眠気による事故などのため、(死亡率)が非常に高くなるので、要治療
●レストレスレッグス症候群
夕方から深夜にかけて、下肢を中心としてムズムズする、痛痒い、じっとしていると非常に不快を感じる。
中年以降の女性に多く、鉄欠乏性貧血や腎不全による(人工透析)を受けている人に多い。
布団の中でじっとしていられず、睡眠不足に
●周期性四肢麻痺
睡眠中に四肢の異常運動が生じて睡眠を妨げられる病気。
睡眠中に足がぴくぴく動く不随意運動が周期的に起こるため、頻回に脳波上の覚醒反射を生じ、夜間の不眠や日中の過眠が生じる。(レストレスレッグス症候群)と合併することが多く、年齢とともに増加する。
●致死性家族性不眠症(難病指定公費対象)
スペインでの報告が多く、日本では4家系で証明された。
家族性プリオン病で40~50歳代で発病する。予後不良。
発病初期から頑固な不眠と夜間興奮、記憶力低下、交感神経緊張状態(高体温、発汗、頻脈)などで発症し、やがてミオクローヌス、認知症を呈し、1年以内に高度の意識障害に陥り、呼吸不全を伴う。2年以内に死亡することが多い。
現代鍼灸による治療
精神的興奮を鎮静させ、さらに全身調整をはかり悪循環を断ち切る。
(神経症不眠)の場合、心理的な配慮はより重要になる
主に使うツボ
百会、シンエ、天柱、風池、完骨、肩井
心肝の清熱、精神の安定、煩躁など
太衝、行間、陽陵泉、肝兪、胆兪
腎、心
太谿、腎兪、三陰交、神門、心兪、大陵
胃・心
中カン、天枢、豊隆、レイだ、隠白
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