歩行やランニングの推進機に踵着地が起こる際、後足部には底屈モーメントが発生する。
同時に足圧中心が前方に移動し、足趾が背屈することで、足底腱膜は巻き上げられる。
この作用によってこの縦アーチは挙上し、足部の剛性は高まる。
また、足底腱膜は物理的に足部の剛性を高めるだけでなく、様々な情報を感知するセンサーとしても機能する。
足底腱膜が母趾外転筋、小趾外転筋、中足趾節間関節に付着する部分には
パチニ小体とルフィニ小体が多く存在することが確認されている。
そのため、足底部の筋の収縮程度、足部の位置感覚などを感知し、付着する筋による足底腱膜への張力を適切に調節していると考えられている。
さらに足部アーチは下腿筋群の筋活動によっても動的に保持されている。
特に後脛骨筋は内側縦アーチの頂点に位置する舟状骨に停止を持ち、アーチ保持に重要な役割を果たしている。
同様に、長趾屈筋も荷重動作時中に等尺性に収縮することで、アーチ保持に寄与している。
一方、長腓骨筋はアーチ保持に関与するとともに、その収縮によって後足部を外反させ、足部の剛性を低下させることで、衝撃吸収に有利な状態に変化させる。
足底腱膜自体の動作中の張力変化や、下腿の筋による動的なアーチ支持によって、足部のアーチ構造は機能的に剛性を高めている。
一方、必要に応じて足部に動的に緩衝作用の高い関節位置に変化させることで、衝撃吸収に対する要求も満たすことが出来る。
この様に、足部は剛性と柔軟性を状況に応じて変化させ、各動作に適切な足部状態を機能的に調節している。
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